著作者 著作権の帰属主体(この文章は荒竹純一様の著作物です。) 「著作者」とは,著作物を創作する者です(著作権法2条1項2号)。あなたが小説を書けば,あなたが著作者です。 そのできばえとは何の関係もありませんし,他の人がなんの興味ももたなくてかまいません。したがって,あなたの 3歳の娘さんが絵を描けば,その娘さんは著作者なのです。またあなたがパソコンの画面上で,文章をつくったり, 絵を描いたり,図形をつくったりすれば,それであなたは著作者になります。著作者として著作権をもつためには, たんに創作すればいいのであって,そのほかに登録するとか,本にするなどの形式はまったく必要ありません(17条2項)。 これを「無方式主義」といいます。 @ まず著作者は,著作物を創作した者でなければなりません。創作するきっかけを与えたにすぎないものは著作者ではありません。 著作権の保護の対象は,表現であって,アイデアではないのです。したがって,アイデアを提供したにすぎない者は著作者ではありません。 この意味でヒントやテーマを与えた者も著作者ではありません。そこで,ある著作物を売り込むためにプレゼンテーションなどをするときは, アイデアだけを盗まれないように気をつける必要があります。 A 依頼者や注文者も著作者ではありません。これは大変重要なことであり,実務の上ではよく問題が起っています。たとえば,コンピュータ・ プログラムやコンピュータ・システムの作成を外注することはよくあります。ところが注文者は,著作物を創作したわけではありませんから, 高い対価を払って著作物の作成を依頼したとしても,著作者ではないのです。したがって、注文者が著作権の帰属主体となるためには,著作者から 著作権の譲渡を受ける必要があります。さらに,著作者人格権の不行使特約を締結する必要があるのです。 B 助手も著作者ではありません。著作物の作成に当たって,ある人の指揮監督下にあってその手足として作成に従事する者は、著作者の創作 活動を助けただけにすぎず,みずからの創意にもとづいて著作物を作成したことにはならないからです。 C システム・エンジニアが派遣されて,派遣先でコンピュータ・プログラムの作成に従事した場合も,判定がむずかしいケースの1つです。ある会社に派遣されて,コンピュータ・システムを構築した場合,その会社の中で会社の要求に従いながら,その一定の監督下に著作物を作ったという意味では,会社が著作者ともいえそうです。しかし,著作物を創造したのはやはり,システム・エンジニアだともいえそうです。そこで,問題が起こりそうな場合は,著作権の帰属について契約できちんと取り決めておくことが必要です。 出所 Netlaw。 (デシ子のひとこと。)[二次著作物とかって問題もあって、これ適用されるか微妙ですね・・・。] |